スパイスな人生

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ネットサービスもブランディングが当たり前に?ニューヨークのECスタートアップに学んだこと

TMIX新ロゴ

こんにちは。spice life代表のヨシカワです。

 

オリジナルTシャツTMIX (ティーミックス)は11月5日にブランドイメージを一新しました。

今回はそのことについて書こうと思います。

 

TMIXは2009年1月19日に、

  • 商品はTシャツ1種類
  • カラーは5色
  • 前側のみプリント可能

というとても小さな形でローンチしました。

 2015年11月のいまでは、

  • 商品は45種類に
  • 商品×カラーバリエーションとなると400種以上
  • 前側だけでなく後ろ側もプリント可能
  • スマホからもデザイン可能
  • ショールームオープン

と大きく変わっています。

 

このように7年弱にわたって運営していますが、サイトデザインの変更などは定期的にやっていたものの、大きくブランドイメージを変えずにここまでやってきています。もっと言えば、始めてからこれまで、TMIXのブランドイメージそのものについてあまり考えずに続けてきたのです。

 

なぜいまブランドイメージを一新したのか?

きっかけは去年の2014年9月になります。なのでそこから考えると1年以上の時間をかけてきたことになります。

2014年9月、ニューヨークとサンフランシスコ(シリコンバレー)にビジネス視察に行っています。

そのうち、ニューヨークではECスタートアップが多いこともありアメリカのECスタートアップが取り組んでいることをテーマにして視察をしていました。

アメリカのECスタートアップの多数が取り組んでいることなら我々も取り組むべきではないかと考えたからです。

 

warby parkerワービーパーカーのオフィス併設ショールームとショップの様子

ニューヨークの代表的なECスタートアップのWARBY PARKER、BONOBOSなど視察する中で、ここが進んでいる、我々も取り組むべきかなと感じたことが3つありました。それは、

  1. ショールーム型ストア
  2. ブランディング
  3. 社会・地域貢献活動

です。

 

1.ショールーム型ストアについてはすでに今年の3月にオフィス併設型としてオープンしています(ブログ参照)。

 

そしてショールーム型ストアをオープンした際、ネットとリアルで統一されたイメージを作ることの難しさを感じ、TMIXは1つ1つの施策をバラバラに進めてきたために、1つ1つとしては成り立っているが全体としては統一されていない状態であると気づきました。まさにブランディングが必要であり、取り組むべきかな、から、取り組まなければならない、に変わったのです。

 

ただ、9月に行った時に感じたとはいえ、ブランディングが必要という視点ではなかったためボンヤリしていてどうしたら良いかわかりません。

そこで、ニューヨークに2015年6月に再度視察に行くことにしました。

この時は、事前に他のECスタートアップも調べ、効率よく回れるようにし、夜はその日見た感じたことをメンバーと共有、場合によっては翌日以降に同じ場所を再訪して確かめるなどとにかく現地でしか体験できないことを重視し深掘りしました。

 

そうした結果、やはり早急にブランディングに取り組むべきであると結論、エッセンスは収集できた、具体的な進め方は帰ってから考えよう、ということになったのです。

 

ちなみにですが、この時に行ったECスタートアップはWARBY PARKER、BONOBOS、HARRY'S、Casper、Rent the Runway、TRUNK CLUB、JACK ERWIN、normalなどです。

左はTRUNK CLUB、右上がnormal、右下がCasper。ショールームストアでの写真

 

ブランディングについて

ブランディングとは、”ケラーの戦略的ブランディング”という本によれば、

ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること」

ケビン・レーン・ケラー(著)

 

Wikipediaでは

ブランディング - Wikipedia 

 時代の流れやトレンドによる顧客ニーズの変化、また競合品・代替品の出現など刻々と変わる状況に対応するためブランドも新陳代謝を繰り返す。しかしそのどの場面においても焦点は『 顧客の頭の中に形成されるイメージ 』に合わせられており、時を経て蓄積されたそれら無形資産が消失・分散されることのないよう、注意深く計画・管理される。 ユーザーは様々な機会やメディア等を通じ商品情報と接触し、また店頭で目にし手に取り、実際に利用することでその品質を体感する。これら一連の中にユーザーの期待を裏切らない満足(価値)がある時、その商品はユーザーエクスペリエンス(新鮮で快適な良い体験)をもたらす商品として記憶され、さらなる注意が向けられるようになり情報収集と利用を繰り返すという循環が生まれる。このように商品とユーザーの間にできた体験を伴う良い関係が、商品に対する共感や信頼を育てユーザーの顧客化が起こり、徐々に顧客の頭の中に『 ブランドイメージ 』という行動を決定する力を持つ『 概念上の価値 』が構築されていく。

 

とあります。

 

つまり、

どこから知っても、TMIXのコンセプトや理念と提供するサービス・商品の価値がズレなくイメージが統一されている状態であり、いついかなる場合でも信頼を裏切らず顧客との関係を築く、と伝えていくことだと思います。

 

今までこのような考え方で運営できていたかというとそんなこともなかったのです。

はっきり言えば、機能追加や新商品の販売など1つ1つをスピード重視の考え方でやってきていて、ブランドとして統一されたイメージを持ってもらえるように考えてはいませんでした。顧客の頭のなかに形成されるイメージ、つまりどういったイメージを持ってもらいたいのかを真剣に考えたことはなかったのです。

 

しかしアメリカで見たECスタートアップは、比較的初期からブランディングの考えを取り入れ実行しています。

ブランディング - Wikipedia

顧客の視点から発想したコンセプトや理念を基に、常に顧客の期待や信頼に応えるよう行動し、良質な商品の供給を継続することでユーザーをはじめとしたステークホルダーの共感や支持を獲得・拡大していくこと、またそれに関連する一連の活動のことである。  

 を当たり前のように行っているのです。

 

TMIXのブランドイメージ

2015年6月の視察後、TMIXブランディングを進めると決めましたが、いままでやったこともなく社内のリソースも限られており、アメリカのECスタートアップのブランディングの考え方や取り組みを理解しなおかつチームと共有しながらスケジュールに落として具現化していくキーパーソンが必要でした。

そこで、NYCのスタートアップを独自で取材しトレンドを詳しく理解している江原理恵さんにお願いしました。

 

江原さんはスマートニュース株式会社のオフィスデザインのディレクションをしたり(参照:仕事する身体−−スマートニュースのオフィス移転物語 | スマートニュース株式会社)、ボタニカルデザイナーとして活躍されてる方で、NYCの視察も同行していただいたおかげで何倍も深い知識を得ることができたのです。

 

まず言われたことは、顧客にとってTMIXは一体なんなのか、我々の想いを具体的に言語化すべき、でした。

今まで言語化したことはありませんでした。

 

そこで、ミッション、キャッチフレーズをまずは言語化しようと、ホワイトボードに思いつくことを書き出したり、日を変え場所を変え何度も話をし、TMIXチームのメンバーと昔の話をしたりしながら浮かんでくることを書き溜めていきました。

 

 

ホワイトボードに書き出した様子

 

ミッション、キャッチフレーズを考えだしてから実際に決定するまでには1ヶ月以上かかりました。決まってみると、伝えたい事がストレートに伝わる文になりましたが、かなり試行錯誤しました。想いについて話すことはそれまでもしていましたが、それを1つの短い文章で伝えるとなると言葉がすっきり伝わらなかったり、スッと読めなかったり、ちょっと言葉を変えるだけで全体の印象が変わりイマイチになったりするのです。良くなったのか悪くなったのか考え続けすぎると判断が鈍るので数日寝かせたりしながら決めました。

 

TMIXのミッション、キャッチフレーズは以下に決まりました。

TMIXミッション 

世界中のあらゆる人々に、カスタマイズを通して、喜びや楽しみを提供する

 

TMIXキャッチフレーズ

Print Your Heart

 

 

他にも新しいロゴの作成やTMIXのカラーの選定などブランディングにはいろいろな要素があり苦労話もありますが、その話はまた別の機会にでも。

とにかくリリースしてみると周りの評判やユーザーの満足度が高く、本当にやってよかったと思ってます。

タイトなスケジュールのなか作り上げてくれたチームのみんなには本当に感謝です。

 

これからのTMIX

最後にこれからのTMIXについて少し話して終わりにします。

 

TMIXをローンチする前はフォトショやイラレがないとオリジナルTシャツが作れない、という時代でした。もちろん1枚から安価でオリジナルTシャツを作ることができる、ということもその頃ほとんど知られてなかったように思います。

2000年代の前半にTシャツプリント用のインクジェットプリンタが工場向けに多く出回り、1枚からフルカラーで安価で作れるようになっていたものの、それが一般の人に伝わってはいませんでした。

TMIXはインクジェットプリンタを生産している日本企業と協業しながらオリジナルTシャツを一般の人に気軽に作ってもらえるように、ウェブでデザインできるツールを用意することで、ウェブでカンタンに1枚から作れる、ことを日本で進めてきました。

 

ローンチ後から今までを、ウェブでデザインし作れる時代、とするならば、これからのTMIXは、

  • デザインしたことない人でも思い通りのデザインができる時代
  • デザインしていないのにデザインができる時代

に進んでいきたいと考えています。

このことについても、いつかまた話をできればと思います。

  

グーグルはミッションとして「世界中の情報を整理しアクセスして使えるようにする」ということを掲げています。

同じように、TMIXはTシャツデザインの情報を整理しデザインをしていないのにデザインが出来、利用もアレンジもできるようなサービスへと進化、カスタマイズを通して喜びや楽しみを提供できるような未来を描いています。

 

これからもTMIXチームは一歩一歩前に進んでいきます。